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【ハイブリッド学会事例紹介】第17回世界地震工学会議(17WCEE)〜世界が注目した国際会議のConfit利用事例~

お久しぶりです。導入コンサルタントの田上です。

早くも5月になりました。ついこの前、2022年を迎えたばかりの気持ちでしたが、時間の流れの早さに驚いています。

新型コロナウイルスまん延防止等重点措置は終了を迎え、以前よりは規制も緩和された中で生活を送れるようになり、依然としてまん延状況に左右されつつも、「with コロナ時代」というキーワードのもとで、2020年から様々な模索が続いています。これは、学術大会や国際会議を含むイベントにも言えることです。

 

今回の記事でご紹介する第17回世界地震工学会議(17WCEE)も、そうした模索をしながら、昨年9月に開催された国際会議です。この会議は、工学分野を中心に世界の将来的な地震被害を軽減し、地震災害に強い社会を実現するための科学的な知見の深化などの研究推進を目的として4年に一度開催されます。

 

今回は、日本政府観光局(JNTO)の誘致支援を得て、仙台で開催されました。新型コロナウイルスの蔓延状況を踏まえ、あいにく完全な現地開催とはなりませんでしたが、現地とオンラインのハイブリッドで開催され、Confitをオンライン開催部分のプラットフォームとしてご利用いただきました。

当日は、開会式に天皇皇后両陛下のご臨席を賜ったことをはじめ、非常に多くの研究者が現地・オンラインを通じて会議に参加し、世界的にも注目度の高い国際会議となりました。

 

そんな世界が注目したこの国際会議において、Confitをどのようにご利用いただいたのかをご紹介したいと思います。

今回ご紹介する大会

大会名 The 17th World Conference on Earthquake Engineering
日本語会議名:第17回世界地震工学会議
略称:17WCEE
主催学協会 公益社団法人 日本地震工学会
会期 2021年9月26日~10月2日
発表演題数 2,705題
会議参加者数 約3,100名
※最終的な発表演題数としては2,705題でしたが、これは会期までの間に発表の取り下げがあった影響です。発表申込自体は、約7,000題にも及びました。

 

この会議では、演題登録参加登録演題査読プログラム編成Web抄録ならびに抄録モバイルアプリの各機能をご利用いただきました。

投稿件数、参加者数ともに大規模な国際会議であったことから、各機能がより安定してご利用いただけることがシステム運用上の大切なポイントの一つでした。会期延期によってシステム運用に特殊な対応が生じることもありましたが、会期当日まで主催様や運営事務局様のご協力も得ながら、会期終了へと進むことができました。

Web抄録・抄録モバイルアプリを活用した仕組み

世界地震工学会議では、Web抄録ならびに抄録モバイルアプリを会期中のオンラインプラットフォームとしてご利用いただきました。

発表されるすべてのプログラム情報だけではなく、講演ごとの論文、ライブ配信の講演にアクセスするためのZoomリンクボタン、また講演によっては発表資料や事前に録画した発表動画も掲載していました。

世界地震工学会議のConfit Web抄録トップページ

▲ 世界地震工学会議のConfit Web抄録トップページ

 

ここからは、「アクセス時の認証方式」「コンテンツの掲載方法」「安定的なアクセス環境の担保」の3つのテーマに絞って、紹介したいと思います。

■アクセス時の認証方式

オンライン開催またはハイブリッド開催で会議を実施する場合、まず考えなければならないのは、オンラインプラットフォームにどのように参加者がアクセスするかという点です。

世界地震工学会議では、共通のパスワードでアクセスを制限する仕組みを採用しました。Web抄録で閲覧する際はプラットフォームへのアクセス時に、抄録モバイルアプリから閲覧する場合は論文やライブ配信(Zoom)にアクセスする際にパスワードの認証が求められます。

抄録モバイルアプリにおける認証画面

▲抄録モバイルアプリにおける認証画面

 

共通パスワードで認証を設定する場合、メリットとしては参加者が認証に失敗しづらい点が挙げられます。参加者ごとにログインID・パスワードを設定しておく方が機密性の高さは勝りますが、参加者ごとにログインID・パスワードを設定、通知する手間があることに加えて、会期中ログインがうまくいかないという問い合わせが生じやすいリスクもあります。

世界地震工学会議のように参加者が非常に多く、かつ国際会議の場合は、問い合わせのバリエーションも多いのは事実です。主催、事務局、参加者共に会期中のストレスが比較的少ない共通パスワードでの認証も一つの方法だと言えるでしょう。

 

Confitでは一定の機密性を担保しつつアクセスしやすい認証の形式を複数パターンご用意しています。大会として求める認証レベルに応じて対応ができますので、ご利用の際にはご検討ください。

認証方式 認証パターン 詳細
共通パスワード

(全参加者が同じパスワードで認証)

ダイジェスト認証 Web抄録にアクセスした際、認証画面が表示されます。

サイトそのものを参加者のみに表示したいが、共通パスワードで認証を設定したい場合に最適です。

抄録認証 抄録や論文PDFを閲覧する際、認証画面が表示されます。

現地開催のみなど、Web抄録にZoomなどのオンラインミーティングツールへのリンクを設けない場合などに最適です。

参加者個別認証

(参加者ごとのログインID、パスワードで認証)

サイト全体認証 Web抄録にアクセスした際、認証画面が表示されます。

サイトそのものを参加者のみに機密性高く公開したい場合に最適です。

タイムテーブル認証 タイムテーブルやプログラムを閲覧する際、認証画面が表示されます。

大会ウェブサイトとしてWeb抄録を利用している場合などに最適です。

抄録認証 抄録や論文PDFを閲覧する際、認証画面が表示されます。

プログラムまでは一般公開したいものの、抄録や論文PDFのみ参加者に公開したい場合に最適です。

※抄録モバイルアプリの場合は、アプリ審査の都合から「抄録認証」のみご利用いただけます。世界地震工学会議では、Web抄録のみダイジェスト認証を設定し、抄録モバイルアプリはアプリをカスタマイズして、参加者のみがコンテンツを閲覧できる仕組みを実現しています。

■コンテンツの掲載

世界地震工学会議では、論文PDFのほか講演動画や発表資料を予め収集しておき、Web抄録や抄録モバイルアプリから閲覧できるようにしていました。Web抄録から閲覧した場合、以下のような画面表示になっていました。

Web抄録システム コンテンツの表示イメージ

 

一つの画面から各講演のコンテンツやZoomなどのオンラインツールにアクセスできることは、参加者にとっては「アクセスしづらい」「どこからアクセスすればよいかわからない」というストレスを軽減することにつながります。

 

特に、ライブ配信のセッションの場合は、Zoomなどのオンラインツールにすぐにアクセスできないと参加者にとってはストレスを感じるポイントにもなります。

世界地震工学会議のWeb抄録においてはタイムテーブルの画面にもオンラインツールへのリンクボタンを設置していました。これにより、タイムテーブルを閲覧して現在開催中のセッションにすぐにアクセスするという導線を実現しました。

Web抄録のタイムテーブル画面

▲Web抄録のタイムテーブル画面

 

ハイブリッドやオンラインで開催する学術大会の参加者の声に触れることが多いのですが、オンラインになって「もっと多くのセッションを閲覧したい」「講演をもう少し見たかった」という声が現地開催の学術大会よりは多い印象があります。

よりコンテンツを見つけやすく、また閲覧しやすくすることで参加者が「この大会に参加してよかった」と思える大会づくりができるのではないかと改めて考えます。

■安定的なアクセス環境の担保

多くの参加者がConfitにアクセスするとなると、安定的にアクセスできる環境が担保されているかが一番大切なポイントになります。

世界地震工学会議では、会期中(9月26日~10月2日)には総アクセス数 352,050ページビュー(PV)がありましたが、Keynote講演のような特にアクセスが集中するセッション開催時を含め、システムは一定のパフォーマンスを維持しつつ、稼働し続けていました。

 

Confitでは、可用性99.9%前後を保証しているAmazon Web Servicesを利用して、自社にサーバを保有して監視し続けるよりも永続的でかつ安定的なサーバ環境を確保しています。加えて、24時間365日の常時サーバ監視体制を採用しており、万が一の場合にできる限り早く復旧する体制にしています。

これらの体制をとることによって、システムが停止して閲覧できない時間帯をできる限り発生させないよう努めています。

 

電気やガスなどのインフラと同じく、停止しないことは「当たり前」と感じるかもしれません。しかし、当たり前のことを当たり前にしっかりできるようにすることは、なかなかに難しさも含んでいます。

世界地震工学会議のWeb抄録や抄録モバイルアプリの背景には、上記のように安定的な環境の構築があったことを、ここで少しアピールしたいと思います。

 

以上、3つのテーマから世界地震工学会議の事例を紹介しました。

世界的にも注目度の高い国際会議にConfitを採用いただいたこと、また私もその一部に関われたことは非常に光栄に感じています。

まだまだ国を越えて自由な往来がしづらい状況下ではありますが、Confitを通じて少しでも国際会議が盛り上がっていけばと祈っています。

 

ところで、この世界地震工学会議は冒頭に記載した通り、日本政府観光局(JNTO)の誘致支援を受けて開催されました。国際会議の誘致支援を国から受けられることを知らない研究者の方も少なくないかと思います。

弊社では、この誘致・開催活動支援の趣旨に賛同し、ともに周知活動に取り組んでいます。国際会議を誘致したいと考えている皆様、ぜひこちらのページをご覧ください!

 

また、オンライン開催をご検討中のみなさま、お気軽にお問い合わせください。