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【オンライン開催事例紹介】第24回日本医療情報学会春季学術大会 ~参加者の多くが満足した大会の舞台裏を拝見しました!~

こんにちは、導入コンサルタントの田上です。

気づけば7月ですね。みなさま、「ニューノーマル」な日々を送られているかと思いますが、くれぐれも体調を崩されないよう、お過ごしください。

 

「ニューノーマル」が求められる現状は、学術の世界にも大きな変化を与えています。
その最たるものが学術大会のオンライン開催です。昨年までは学術大会をオンラインで開催することはまだまだ遠い世界でしたが、今では開催方法の一つとして多くの学協会様が検討しています。

学協会様のなかには「どのように開催すればいいかわからない」「どうすれば参加者に満足してもらえる学術大会が実現できるか困っている」というお悩みもあるでしょう。

 

そこで今回はConfitをご利用になり、オンライン開催を成功に導かれた「第24回日本医療情報学会春季学術大会」の事例をその舞台裏から余すことなくご紹介したいと思います。

なお、この記事の執筆にあたり大会長の渡邉 直先生ならびにプログラム委員長の仲野 俊成先生にはご快諾をいただいたばかりでなく、ご協力もいただきました。この場を借りて、御礼申し上げます。

今回ご紹介する大会

大会名 第24回日本医療情報学会春季学術大会 (シンポジウム2020 Web)
主催学協会 一般社団法人 日本医療情報学会
会期 2020年6月5日(金)・6日(土)
発表演題数 140題
大会参加者数 約2,300名

日本医療情報学会様では、春季学術大会(例年6月開催)ならびに医療情報学連合大会(例年11月開催)において、演題登録演題査読プログラム編成Web抄録の各機能をご利用いただいています。

オンラインで春季学術大会を開催されたのは初めてであり、各機能の中でも特にWeb抄録をいかに活用するかが大会運営のポイントの一つとなりました。

Confit Web抄録システムを活用した仕組み

この大会では、従来のプログラム・抄録集に代わってConfit Web抄録システムをプラットフォームとして利用し、他社のサービスと連携させることでライブでのオンライン開催を実施されました。

Confit Web抄録システムのどんな機能を活用したか、他サービスとどんな組み合わせでご利用になったのかをご紹介しましょう。

なお、大会Webサイトにて参加者向け、座長・発表者向けにマニュアルを配付されています。記事とともに併せてご覧いただければと思います。

  • 参加者向けマニュアル
  • 座長・発表者向けマニュアル

※大会Webサイトのクローズに伴い、上記マニュアルの掲載は終了しました。

1. 参加者の個別認証

オンライン開催にあたって主催様が一番心配されるのは、参加登録をしていない方が勝手に内容を視聴することです。オンラインでは相手の顔や行動が見えないだけに、この部分をいかに担保するかが大切なポイントになっています。

そこで、この大会ではConfit Web抄録システムの参加者個別認証機能をご利用いただきました。これはWeb抄録システムに参加者の情報を登録することで、登録されている方だけがZoomのリンク先へのアクセス、抄録の閲覧、コメントの投稿などができる機能です。

参加者以外がアクセスする可能性を最大限制限することができますから、オンライン開催時には必須の機能とも言えるでしょう。

2. 口頭講演

口頭講演は、Web会議サービス「Zoom」を使用しました。

Zoomは近年セキュリティの観点から利用を避ける方もいますが、機能の多さと手軽さから日本を含め世界的に幅広く利用されているサービスです。

 

この大会では、会場ごと(第1~第3)に、午前・お昼・午後の3つの時間帯に分けたZoomウェビナーを計9つ開設しました。セッションごとにZoomウェビナーを開設しなかったのは、参加者の利便性に加え、セッションが長引いた場合を想定したためです。ある程度の時間幅でもってZoomウェビナーを区切ることで、万が一、前のセッションが長引いても次のセッションをそのまま開始できるようにするための配慮です。

また、資格認定ポイントの付与に関係するチュートリアルなどでZoomウェビナーを区切ることで、個別に参加者の出入りを把握していました。

 

こうしたZoomウェビナーの開設に関する工夫に加えて、他の会場がどのような講演を実施しているのか様子が見られるように、各会場の様子を4画面に分割したストリーミング配信も実施しました。

これはYouTubeのストリーミング配信機能とZoomを掛け合わせて実現したものです。Confit Web抄録システムには、このストリーミング動画を埋め込み、Zoomへのアクセス前に他の会場の様子も見られるようにしています。

この大会の場合、Zoomウェビナーの会場が3会場であったため、4会場目の部分には広告が掲載されました。オンライン開催ですと現地開催のような展示ができないだけに、こうした広告の掲載は協賛企業を集める際にも魅力の一つとして提示できるのではないでしょうか。

(Confit Web抄録システムの画面。YouTubeの埋め込みとZoomへのリンクが表示されている。)

3. ポスター講演

ポスター講演は、事前に発表者からポスター(A1判・PDF形式)を収集し、Confit Web抄録システム上に掲載しました。また、ポスター立ち会いにおける質疑応答※は、Web抄録システムのコメント機能をご利用いただきました。

※この大会では、「ポスターA」という発表形式で採択された場合、ポスター立ち会いに加えて、12分程度の口頭講演も実施されました。

 

オンラインの場合、参加者が何をしているのか目に見えないだけに勝手に印刷やダウンロードできるようですと、発表者の安心を守ることができません。そこで、弊社ではポスターや発表スライドなどに対し、印刷やダウンロードができないよう制限する仕組みを設けています。この大会でもこうした仕組みを採用し、ポスターセッションを運用いただきました。

口頭講演セッション運用の流れ

様々な学協会様からのお声として、会期当日に口頭講演のライブストリーミング開催をどのようにすればよいのかというご質問を多くいただきます。

この項目では、口頭講演にフォーカスしてセッション開始~終了までの流れをご紹介します。

セッション開始15分前

セッション開始15分前に座長・発表者はZoomウェビナーにアクセスします。

Zoomウェビナーにはあらかじめ管理者として大会スタッフがアクセスしており、座長・発表者がZoomウェビナーにアクセスしたことを確認したら、音声・カメラの有効化、画面共有権限を付与します。

この場で、セッション直前のリハーサルを実施し、顔が明るくはっきりと映っているか、画面共有がきちんとできているかなどをチェックします。チェックにあたっては、大会スタッフが率直に問題なく映っているかどうかのアドバイスをすることもあります。

 

ライブストリーミングによるオンライン開催の場合、大会スタッフの存在が鍵となります。

Zoomウェビナーの操作一切を座長ご自身で対応いただく学術大会もありますが、セッションの進行や時間の管理などすべてを一人でやることは座長への負担が非常に高くなります。これをサポートするのが大会スタッフの役割となります。

 

以下の画像は、会期中の大会本部の様子です。

大会スタッフは、会場ごとに配置されており、Zoomウェビナーの運用、タイムキーパー、Zoomウェビナーのチャットに寄せられた質問の管理などを担当します。

座長・発表者ともにオンラインによる学術大会の経験は限られますので、こうした専門スタッフの存在がセッションの円滑な進行の上で重要と言えるでしょう。

(ある会場の大会本部の様子。前のスクリーンには担当する会場のZoomウェビナーが投影され、右側にはYouTubeでライブストリーミング配信をしている動画を映している。)

セッション開始~講演中

いよいよセッションが始まり、発表がスタートします。

座長・発表者が適宜お話ししていくのですが、セッション開始後にも工夫がありました。

 

この大会では、座長用・演者用にZoomのバーチャル背景を配布し、映像が映った際に誰が座長で、誰が演者なのかを明示的になるようにしていました。バーチャル背景は、大会Webサイトにて配付されました。

ZoomなどのWeb会議サービスでは、誰がどのような役割なのかを明示的にする手段が不足していますので、こうしたバーチャル背景の活用は非常に効果的であると感じました。

以下は、こちらの大会におけるZoomウェビナーの画面イメージです。

(セッション開始時の画面イメージ)

質疑応答

発表が終わると質疑応答に入ります。

この大会では、Zoomウェビナーのチャット機能を使用し、質問を集めました。

参加者は発表の間に質問をチャットに投稿していました。

 

集まった質問は、大会スタッフがメモ帳に転記していき、質疑応答のタイミングで下記イメージのように画面共有をして表示をしました。

座長は、共有されたメモ帳をみながら、質疑応答を進めていました。

(質疑応答時の画面イメージ)

単にチャット上に投稿された質問を拾い上げるようにすると、座長にかなりの負担がかかりますし、また発表者・参加者にとってはどんな質問が寄せられているかがわかりません。

この方法であれば、どんな質問が寄せられたのかの整理ができ、また明確であるので他の学術大会でもきっと参考となる方法であると思います。

参加者の反応は?

様々な工夫を凝らしてオンラインで開催したこちらの大会ですが、大半の参加者から非常に好意的な意見が寄せられたと伺っています。

特に、「オンライン開催だから参加できた」「資格認定ポイントの取得を諦めずに済んだ」というご意見は多かったそうです。オンライン開催によって大会参加の機会が広く与えられたことは、多くの研究者の方の喜びにつながったのかと思います。この大会においては、当日参加登録は実施されなかったにもかかわらず、例年の倍以上の参加登録者数となったことは、その証左かと思います。

 

現地開催ならではの良さを否定することはできません。

ただし、オンライン開催だからできるコミュニケーションや良さもあると思います。現地開催の良さとオンライン開催の良さの両方を活かしていくことが、今後の「ニューノーマル」が求められる時代の学術大会のメジャーになっていくのではないでしょうか。

 

弊社では「ニューノーマル」が求められる時代において、安心して開催できる学術大会向けサービスをご提供しております。

オンライン開催にあたって、どのようなサービスがあるのかについては、こちらのページをご覧ください。

また、オンライン開催をご検討中のみなさま、お気軽にお問い合わせください。